100㎏以下の衛星の総称である超小型衛星、世界における宇宙開発利用は、この超小型衛星の登場で今や大きな変革期を迎えています。そのきっかけとなったのは、我々東京大学が、東京工業大学と2003年に打ち上げた2機の1㎏のCubeSatでした。東大ではすでに15機の教育、地球観測、宇宙科学探査、通信、海外支援の衛星を打ち上げ、ここからいくつかのスタートアップが立ち上がるなど、大学も主要なプレーヤーになってきました。世界中で、政府の予算と技術や指導による宇宙開発利用から、民間や大学の活力主体の宇宙開発へ、また少数の中大型衛星による高コストで頻度の少ない宇宙開発利用から、低コストの超小型衛星を多数機打ち上げて運用する小型コンステレーションの時代への脱皮が起こっています。
超小型衛星の低コスト化や多数生産は急激に進んできましたが、現在の日本では、それを打ち上げるロケットが全く足りません。国の基幹ロケットも失敗が続き、相乗りによる超小型衛星の打ち上げ機会もしばらくは期待できず、海外でも、ロシアのソユーズ、ドニエプルなど、低コストの相乗り打ち上げサービスを提供してきたロケットが使えない状況となりました。特に小型コンステレーションを目指す宇宙スタートアップや、宇宙科学や教育のミッションを打ち上げたい多くの大学が、低コストの小型ロケットを「のどから手が出る」ほど欲しがっている状況です。世界でもこの小型・超小型衛星市場を目指して、小型ロケットのベンチャーがあちこちで生まれていますが、それでもまだまだ必要な数には足りません。
この絶好のタイミングで設立したロケットリンク・テクノロジー社。
ぜひとも早期に軌道上打ち上げの実証をして、我々の衛星を打ち上げていただきたいと強く望みます。ロケット開発の際には、超小型衛星コミュニティの要望、たとえば、打ち上げコスト、ペイロードサイズ、打ち上げ前の整備、打ち上げまでのリードタイムなどをヒアリングし、多くの衛星開発者が打ち上げたいと思うロケットを仕上げていただければと思います。しかもできるだけ早く!
ロケットリンク・テクノロジーの今後に大いに期待しています!
2003年の世界初の1㎏CubeSatの1機「XI-IV」
2014年打ち上げの地球観測衛星Hodoyoshi-3号(左), 4号(60㎏級)